日本酒・熟成古酒百科

日本酒の最高傑作である熟成古酒(長期熟成酒、ヴィンテージ日本酒)を啓蒙するサイトです。ワインにもまさる日本独自の文化である熟成古酒について語りましょう。蔵元自慢の熟成古酒・地酒もご紹介します。

旨い日本酒ができるのは酵母のおかげ(2)

前々回に酵母の話を書きました。今回はその続きです。

お酒は酵母の生命活動の副産物であることは、前回ご説明した通りです。

これをもう少し掘り下げると酵母のもたらす発酵によって、お酒の資質は決定されます。言い換えると、お酒の香り、旨み、そして色合いまでも酵素が大きく関わっているのです。

お酒の旨みの大元は、お米に含まれているタンパク質です。
これが米麹の中にある「たんぱく質分解酵素」によってペプチドやアミノ酸に分解されます。そしてこのアミノ酸はさらに分解されてエチルアルコール以外のさまざまなアルコールになります。

たとえば、フェニールアラニンというアミノ酸からβ-フェニールエチルアルコールが生成されるのです。こうしてできたアルコールがお酒のほのかな香りになります。
しかし、お酒の香りを決定的にするのは、酵母によって生成されたアルコールと酸が結合してできたエステル類です。

日本酒ファンには堪らない吟醸酒の香りはバレリアン酸などのエチルエステルがもとになっています。

ちなみに日本酒特有の旨みは窒素分が多いことに由来しています。
ビールやワインに比べ、お米のタンパク質からくる窒素分が日本酒の旨みを作っているのです。

日本酒の彩も酵母の働きのおかげ

そしてお酒の発色に関係するのが、フラビン・メラノイジン・フェリクリシンという3大要素です。特にフェリクリシンは米麹が作り出す日本酒特有のもので、これが鉄分と結び付くと長期熟成酒特有の発色をします。

しかし、いまでこそ日本酒のこうした彩りも認知されていますが、20年くらいまではこうした色はあまり歓迎されず、フェリクリシンが生成されない麹が使われたり、より鉄分の少ない水が仕込みに使われていたようです。

日本酒の彩も楽しめるのも、酵母の働きがあってこそですね。
時間と生命の営みに感謝して今夜も熟成古酒で乾杯。

今回の文章は「日本酒のすべてがわかる本」(穂積忠彦 著 健友館 刊)を参考にさせていただきました。ご興味のある方はご一読ください。

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