平安時代の貴族がたしなんだお酒の話
日本人と日本酒は切り離して考えることはできません。
古い文献を探ってみると平安時代の「延喜式」には当時の酒造りの記録が残っていて、そこには水の代わりにお酒を使って仕込む「貴醸酒(きじょうしゅ)」の作り方が書かれていたそうです。
通常お酒を造る場合、お米10:水13の割合で作るのですが、貴醸酒はお米10:水7:酒6で作ります。
こうしてできたお酒は、濃厚でワインでいうところのボディのしっかりしたものになるそうです。
ちなみにお酒でお酒を仕込むこのやり方は「しおり」もしくは「シオリ方式」と言います。平安時代の貴族たちは濃密な日本酒を飲んでいたのが想像できますね。
アルコール添加というとマイナスイメージを持つ方もいらっしゃるようですが、それは正しくありません。
平安時代にこうした製法が確立したのは、防腐や長期保存の目的があったからではないでしょうか。
現代によみがえる平安の高級日本酒
ところで、平安時代と同じ製法で作られたお酒は現代でも飲むことができます。広島の榎酒造さんは、国立醸造試験所の特許をもとに1974年、貴醸酒造りに成功しました。
貴醸酒の仕込みに使うお酒は上質なお酒を用いるので、コストとしてはかなり割高になりますが、おかげでフルボディの濃密な日本酒ができあがります。
榎酒造さんの「華鳩」は仕込みのお酒に純米酒を使われているそうです。
「世界に誇る『国酒』日本酒」という本には「仕込みのお酒に新酒を使うと、まろやかな口当たりとさわやかな酸味のあるお酒に仕上がり、熟成酒を使用するとレーズンやナッツのような香味豊かなお酒に仕上がる。」と紹介さえれています。
平安貴族って、私たちよりもいいものを口にしていたんですね。日本酒の懐の深さをあらためて認識しました。中秋の名月の月見酒には最高のお酒ですね。
おすすめの熟成古酒 華鳩 貴醸酒(きじょうしゅ)
貴醸酒のパイオニア、榎酒造のお酒でリッチなひと時を満喫してください。