日本酒・熟成古酒百科

日本酒の最高傑作である熟成古酒(長期熟成酒、ヴィンテージ日本酒)を啓蒙するサイトです。ワインにもまさる日本独自の文化である熟成古酒について語りましょう。蔵元自慢の熟成古酒・地酒もご紹介します。

ヨーロッパやアメリカを中心に評価が高い「達磨正宗」

達磨正宗 平成8年

達磨正宗」はJALの国際線ファーストクラスのドリンクメニューにも載る古酒を代表するお酒です。表題にもあるとおり、とくに欧米での評価が高い日本酒のブランドです。

欧米での高い評価はワインやウィスキーなど、お酒を熟成させる技術が発達したヨーロッパ・アメリカの文化とは無関係ではないでしょう。
熟成したお酒に親和性の高い欧米人の方が、日本人よりも熟成古酒を受け入れやすいのかもしれません。

今では世界的に評価の高い「達磨正宗」の歴史は、まさに日本の熟成古酒の歴史と言っても過言ではないでしょう。

「達磨正宗」の歴史、熟成古酒の復活へ

では「達磨正宗」について簡単に説明したと思います。
明治以降、つい最近まで熟成古酒が不遇の時代であったことは、以前ご説明しました。
しかし、それは熟成古酒だけではなく地方の蔵元にも厳しい時代でした。

昭和40年代、次世代の日本酒の方向性を模索していた白木恒助商店の白木善次氏は、在庫として残っていた吟醸酒の旨さから熟成古酒造りことを思い立ったそうです。
しかし、、古酒作りは完全に廃ってしまった文化なので、文献などの資料もないままトライアンドエラーを繰り返し始まったそうです。
そして苦心の末、昭和50年代に達磨正宗(3年熟成、5年熟成、10年熟成)が市場に出荷されるようになりました。
その後、「達磨正宗」は熟成古酒の認知度とともに世に知られるようになったのです。今日の熟成古酒ブームの礎はこうして築かれました。

ちなみに「達磨正宗 1979年」は2008年にイギリスで開催されたインターナショナル・ワイン・チャレンジでゴールドメダルを受賞しています。
日本文化の根源である日本酒が受賞するのはうれしい限りです。

1つの信念によって作られたお酒が、時間と技に磨かれて至福の味わいに昇華する。
「達磨正宗」はまさにその好事例ではないでしょうか。

お酒は旨さが1番大事ですが、こうしたお酒造りの背景も知ったうえで味わうと、酒の旨さはまた格別です。